本年で17回を数える病理学会カンファレンスも、その歴史の中で初めて新潟を主催として皆様をお迎えすることになりました。今回はテーマを“「患者医療への道」を歩む診断・医療研究の最前線” と題しシンポジウムを組んでみました。2021年度の本会は、新型コロナウイルス感染症の感染制御が未だ国内的にも困難な現況に照らして、病理学会カンファレンス初のWeb配信(Zoom)による開催とさせていただきました。皆様には何かとご迷惑をおかけ申し上げますがご容赦いただき、積極的なご視聴参加を心よりお願い申し上げます。
医学・薬学研究者は本質的な目的として、基礎から応用研究いずれもその進展に日々努力を重ねつつ、最終目標としては患者医療との接点を見据えながら診断・治療への道に通じる患者さんへの貢献を何らかの形で目指していることは言うまでもありません。しかし、その視点と戦略、独創的な研究技術、アプローチの方法、研究領域は今日まさに多彩を極めており、最新の研究の最前線を一時に俯瞰する機会を得ることは中々難しいと思います。また、独自のアイディアや洞察から起ち上がり基盤を築いてきた研究が、いかなるルートを辿りながらゴールに迫ろうとしているのか?を目近に体感することは、研究を始めたばかりの方々や若い研究者にとっては、自分の研究を考え、自力で進めていく上で大変参考になり、また興味深いことと思います。
今回は10名の国内の医生物学・医療学・医工学研究の最前線に立つ様々な分野の研究者の方々に、分子解析からの展開、網羅的分析システム学からの展開、医化学に立脚したテクノロジーからの展開、患者病理・病態学からの展開などのダイバーシティに富んだ領域からアクティブな研究の内容をご紹介いただこうと思います。ご講演をお願いしたシンポジストの先生方は、本邦先進の医生物学・医工学研究者で、腫瘍生物、神経・代謝・生化学、ナノバイオ標的医療、オミックス解析、病理・病態学など多彩な専門分野のフロントラインで現在ご活躍の先生方です。また、各講演の最後には、講演者ご自身の若手研究者に向けた研究上のアドバイスや研究の進め方、励ましなどをご自身の経験から短くお話しいただく予定です。本カンファレンスは、日本病理学会が将来を担う病理学専攻の若手研究者の方たちの育成と研究の奨励の機会を提供することを趣旨として行っているセッションです。
病理学を含めた多彩な医学分野の現役の先端研究者から、若手の皆様に向けた自らの経験に基づいた研究への助言や考え方を聴くことのできる貴重な機会でもありますので、是非お見逃しなく、また気がねのない積極的なご参加・ご視聴を希望しております。
世話人近藤 英作新潟大学大学院医歯学総合研究科分子細胞病理学分野教授